イチルキバレンタイン

今日は世間で言うバレンタインデー。
我が家に居候する現世の行事に大層関心を示している死神様も例に漏れず朝から台所に篭ってなにやら作成しているようである。

よし！

いや、よしじゃねーだろ…
さっきまでルキアが真剣に向き合っていたチョコレートを一つ手に取ってみる。せっかく型で取ったウサギは綺麗なのに、朽木画伯の腕では顔を書いた瞬間に台なしだ。
元々デッサンのおかしい画力が慣れないチョコペンによって一層おかしな事になっている。
目も口も繋がってしまっている白いチョコレートでかかれた一匹のウサギ、いやルキア風に言うならばチャッピーか。

やっぱりお前にチョコペンは難しいだろ。

連行された雑貨屋でせがまれて手作りチョコセットとチョコペンを買ってやったが、やっぱり使いあぐねていたようだ。

だから止めとけって言っただろ…

押しに負けて買ってしまったが、来年から絶対買ってやらない。


れ、練習すれば上手くなる！
貴様にやろうと思っているものの出来は素晴らしいのだからな！

なんだよ、くれんのかよ…

態度のでかさは気になる所だが、俺用にと作っていたらしいチョコレートを引っ張り出してきた。
仕方ねぇなぁ、貰ってやろうか。

ほら！
傑作だろう？

さんきゅ…
ってなんだよこの字は！？

ルキアが取り出してきたのは両手で持つぐらい大きなハート型のチョコレート。
しかしその真ん中にはでかでかと文字がかいてある。

義理っ！？

しかも超達筆。
無駄にうますぎるこの義理という文字。
ルキアではない確実に。
となれば一体誰が…

兄様に書いて頂いたのだ！
どうだ、達筆であろう？

白哉が書いたのかよっ！？

よく了解したなあいつも…
チョコペンを握ってでっかいハート型のチョコに字をかく白哉を想像して思わず吹き出してしまいそうになったが突っ込み所はそこではない。

つーか、なんで義理なんだよ！？

一応、俺はこいつと付き合っているはずだ。
告って了解も貰っているはずだ。

何を言っているのだ？

いや、何を言ってんだは俺の方…
本命に義理ってどうなんだよ…

バレンタインとは義理と大きくかかれたハート型のチョコレートを渡す行事なのだろう？

は？

だから、義理と書いたチョコレートを渡すのだろうが！

…。

相変わらず微妙な知識しか仕切れてこないこの死神様はバレンタインも微妙な部分しか理解していなかったようだ。

あぁ…そうかよ…

妙に納得してしまった俺はとりあえずありがとうと言ってルキアからチョコレートを受け取った。

その後、このチョコレートを見た親父と妹達に大爆笑され、哀れみの目を向けられたことだけ言っておく。
くそっ来年はこいつの目に付く所にきちんとしたバレンタインの知識の書かれた本を置いて置いてやろうと心に誓った俺だった。
え、直接言えばいいって？んな恥ずかしいことできるかっ！？



毎年バレンタインはいかに面白くルキアたんから義理にしか見えないチョコを渡される黒崎を書くかが楽しみです霧立です。
え？カップリング違う？
でも黒崎さんだしなぁ（酷）
普通にラブラブは他のお宅でさせて貰ってるからいいだろ別に（爆）
さて、来年はどうするか今からまた考えます。
義理って素敵な響きですね（笑）